保温効果や保冷効果

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音大出身の妻A子さんが、ピアノの教室を開くためだ。引っ越し早々、前に住んでいたところで開いていた教室の生徒と父兄を集め、リビングでピアノの発表会&新居の御披露目会とあいなった。発表会のあとの父兄を交えた茶話会でも、話題の中心はやはり新居のこと。特に北海道のように厳寒な土地柄ではない首都圏では、高気密・高断熱の家はまだ目新しい・高気密・高断熱の家は魔法瓶のようなもの。保温効果や保冷効果に優れ、冬暖かく、夏は涼しい。まるで自分の家のことのように、その原理を講釈する父兄もいて、A子さんはうれしさを隠しきれない。換気が悪いというマイナス点を補う「型時間換気システム」を付けていることも自慢の一つだ。やつかみ半分の父兄のほめ言葉を全身に浴びて、A子さんは大満足のレセプションだった。1か月が過ぎたころ、A子さんはピアノの調子がおかしいことに気が付いた。引っ越した直後に調律してもらったばかりなのに、何となく音が高い。幸い、音の微妙な変化に気が付くような生徒はいなかったので、新しい土地の湿度にピアノがなじむまでは仕方ないと、しばらく様子を見ることにした。

理想的な環境

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Y子さんたちは、あの家をどうしたのだろうか。「せっかく建てたマイホームですが、いったん出て、近くのアパートに引っ越したんです。化学物質は時間とともに揮発するらしいので、害がなくなるまでは、この2間のアパートで家族3人暮らすしかありません。体は壊すし、新築した家のローンにここの家賃と予定外の出費、本当に泣きっ面に峰とはこのことです」寒冷地に建てた家が、ひと冬越したら傾いていた。H夫さんは長年開業医として働き、妻のO子さんも3人の子どもを育てながら、この医院の事務を手伝ってきた。H夫さんは語る。「私自身、この40年間は本当に多忙でしたが、妻の方がもっと大変だったと思うんです。仕事をしながら、私の面倒も見ていたわけですからね。それで、息子や娘も独立して、孫もできたことだし、そろそろ私たちも自分の時間を楽しもうよということになったんです」医院は人に譲り、2人は首都圏でも有名な高原の別荘地に、新たなマイホームを建てることにした。「妻は、高原が大好きだし、私も若いころによく登った南アルプスを毎日見ることができる…。私たちにとっては理想的な環境で、ここに引っ越してきて本当によかったと思っていたんですよ」